父親が亡くなって39年の歳月が流れ、すでに父親の歳を超えてしまった。こんなことを想うのは、年2回の墓参りの時くらいだ。今年も3月21日の春分の日に行ってきた。これまでは車で子どもや孫を連れていくことがほとんどだった。春の陽気に誘われたのか、今回は妻と二人電車に乗り、高尾駅から墓まで30分の道のりを歩いた。車の時にはまったく気が付かなかった、街路樹の桜の木に多くの種類があること、思いもよらず小川が幾つもあること、近くに八王子城があること、墓花が店によって金額が違うこと、私たちと同様駅から墓地まで歩く人の多さなどに目を奪われる。墓に到着し手を合わせ、いつものように頭上にある樹齢100年は優に超える桜の木を見上げた。歩きながら桜の木を見たせいか、そういえば桜が咲く様を見たことがないことに気がつく。周囲は墓が数多くあるが、親父の墓の近くだけが、桜が見下ろしていた。ああ、いままで親父はこの桜に見守られてきたんだ、との感慨が深く心を揺さぶる。4月の満開の時に再訪することを妻と約束した。