友人から頂いたチケットで、ジャポニズム北斎展を鑑賞しようと妻と共に、上野の国立西洋美術館へ出掛けてきた。日曜日とあって館内は大混雑。それでも人の後につき、少しずつ進む。北斎が研究したといわれる、人体の関節や骨、筋肉の動き、さらに自然現象などの描写が、当時の西洋画家たちに大きな影響を与えたと言う。多くのスペースには、北斎の絵と対比するように、西洋の画家の絵が並べられている。それは紛れもなく、北斎の絵と生き写しの物も多い。北斎がこれほど評価されているとは、まったく知らなかった。私の認識不足が恥ずかしい。絵を描くのは好きだが、人の絵を批評するほどは詳しくはないが、そんな私でも充分堪能できた。常設展には、宗教画の他にモネやセザンヌなどの名前の知れた画家の絵もあり、さすが松方幸次郎の功績は大きい。退館した時は、たっぷり3時間を経過していた。公園を散策後帰路についた。車内はやや混んでいたが、座席の前に吊革を持ち佇むと、それは気持ち良く、若者がスクッとたち上がり、どうぞと言う。私と言えば、まったくの初体験に些か戸惑いも見せたようだ。ところがその若者の立ち振る舞いがあまりにも見事であったので、ぎこちなくも「ありがとう」といって座らせて貰った。気持ちの良い一日であった。