9月下旬のある夜、私の携帯電話の呼び出し音がけたたましく鳴った。画面を見て、もしやと感じながら電話を耳にあてた。病状が急変したので急いでほしいとの内容だった。
7月の釣行の帰りの車中で友人より、父親の書いた文章があるが、本にしてくれないかとの話があり、一度打ち合わせ後しばらく間が空いていた。
ところが9月に入ると父親が入院し、病状が思わしくないので、作成を急いでほしいとの連絡。仕事にはまったくかかていないし、ハードカバーで金箔の文字を入れた上製本は、製本のみでも二週間はかかる。なんとか印刷も終了し、24日に製本の工程に入ったところで、その夜電話が入った。苦労して書き上げた本を、意識のある内に是非届けたいとの私の要望を聞いた製本業者は、なんと三日で仕上げてくれた。
友人から父親が大変喜んでいたとの連絡をもらい、大きな達成感を得ることができた。