私の学生時代は、スパゲティ(スパゲッティーと言っていた記憶)は、喫茶店のナポリタンが定番となっていた。そんな時に私は、スパゲティの専門店を見つけた。それは新宿東口の、紀伊国屋書店の地下と記憶している。カウンターだけで、10人も座れば満席となる。メニューまでは記憶にないが、今では和風に選別されるのだろう。私がいつも注文するのはミートソースが多かったようだ。ナポリタンばかり食べていた私にとって、それはなんとお洒落で美味しかったことか。トマトソースと大きめなひき肉がドッサリ乗り、少し甘かったように思い起こされる。新宿でも専門店はそこ一店だけだったので、友達を誘って来店すると少し誇らしく感じたものだ。そうそう興奮して店の名前も言っていなかったが、ときわ(常磐和、とき和だったか)は定かではない。それ以来尋ねたことはないが、私としては誠に勝手なお願いだが、とっくに閉店してくれていた方がよい。と言うのも、昔の記憶をそのまま残像のように、頭の隅にこびりつかせておきたい。たとえ回顧趣味と言われても。