今回の事件に近いことが、日常的に行われていたとすれば、ただ事ではない。とかくスポーツの世界では、練習と称して先輩や上級生から、暴力的なしごきに近いことが横行している。
相撲の世界では「かわいがり」というのか、稽古場でも一方的に転がされる場面がテレビなどでも見られる。しかし今回の事態はそんな単純なことでなく、もっと根が深いようだ。貴乃花曰く「相撲道」を極める、との考えが、今の相撲界には、外国人力士も増えたことで、なかなか浸透しにくくなってきた。貴乃花はそれが気に入らないのだろう。私個人でも白鵬の取り口には一言ある。まず、ダメ押しが見苦しい。相手力士が土俵を割っていることが分かっていながら、土俵の外に押し出す行為はゆるされない。昔の横綱は、押し倒したら手を差し伸べ、土俵へ引き上げたものだ。さらに、評論家も言っている、かち上げ、張り手が多すぎる。一瞬で失神ということもあった。これでは相撲本来の力と力、技と技の勝負とは、およそかけ離れた「格闘技」に近いものとなってしまう。貴乃花が考えていることはこれだけではないと思うが、横綱の品格までとはいかなくても、相撲協会が、だめなことはだめと毅然とした態度を示して欲しい。