人の骨格は生まれつきなので仕方がないが、私はガニ股のせいか、生まれてこのかた買う靴はすべて片べりをしている。こんなことに気がついたのはこの10年くらいとなる。歳と共に人間の骨格は、あまり良くない方向へと退化していくようだ。新品の靴も三か月くらい履くと、外側が顕著な減り方をする。そんなこともあり、私の前を歩く人の踵には自然に目がいってしまう。私の偏見か、どの人の踵もまったく正常な減り方をしていて、なんとも劣等感に陥る。歩く時に意識して、踵からの着地を内側に持ってくるとの芸当をするが、そんな陳腐なことで改善することはありえない。一度片べりした靴はもとへ戻りようもなく、歩けば歩くほど減って来て、一層ガニ股がひどくなるような気になる。一度O脚修正用のスリッパを買ってみたが、2週間で傾斜が逆転してしまい、O脚推進スリッパと命名することとなった。矯正は不可能ではあるが、かすかな期待を抱き、今日も踵を内側から落とす歩き方を懸命にしている。