「激安・短納期」の文字が、コンピュータの画面に踊る。購買意欲をそそる安易な文字。黄色を主体に赤色の縁取りは、安物を販売するショップさながらで、印刷へのプライドを捨て、物造りの真髄を冒涜して余りある。
高価な印刷機を導入、そこそこの印刷仕上がりで儲けを霞み取る。安く出来るのは当然、受注した多種類の印刷物を多面付し、一気に印刷する。一般の印刷会社は一つの印刷物を多面付して印刷する。単純計算しても通販印刷会社は8分の1の金額で印刷できることとなる。
今や業界も一つの形態と認知したこともあり、乗り遅れるなと印刷会社の参入が続き、印刷機を持たない他業界の会社も参入、熾烈な価格競争が繰り広げられている。現状では2社が飛び抜けており、ほぼ70%近いシエアーを確保し他を寄せ付けない。
通販印刷の出現は一般印刷物の価格の暴落を生み、印刷業界への影響は大きい。特に中小・零細の会社は廃業・倒産が激増、それに伴い職人の減少は、印刷業=物造りのプライドを捨て去ることにもつながっている。