会社の建物は、昭和の初期にたてられた木造建築だ。二階や事務所の増設や改築で、東日本大震災も難なく乗り越えてきた。いずれは京王線の立体化工事で、立ち退きを迫られている。
正確には分からないが、いずれにしろ4〜5年後にははっきりするだろう。そんな建物に以前からのら猫が棲み着いている。勢力争いの末なのか分からないが、猫の世代交代で猫が進んでいく。3ケ月前には、それまで棲んでいた黒と茶色のブチが、全身真っ黒な猫に変わっていた。しばらくの間、屋根の上で格闘まがいのことを展開していたので、力負けだったのだろう。ところがこの猫は態度がでかい。正面から目と目をあわせても、安全圏内にいる時は、後に引かない。しかもこの猫が、このエッセイにも時々登場する、会社の横から裏側にある猫の額の畑に糞をする。今どき都会では猫が糞をするのに必要な泥がある場所は、仲々お目にかかれない。そんなこともあり、のら猫にとっては、棲むには最適な場所と言える。しかしこれが何とも臭いが強い。朝方暗いうちに餌やりのおばさん、おじさんがせっせと餌を運んでくるので、食べるには事欠かないようで、コロとした糞が置いてある。仕方なく畑中に棒をたくさん埋め込み猫が座れないようにしてみた。これで効果があるようなら、困っている皆さんには朗報となる。